団地の居住者には高齢者も多いため,継続的な居住を妨げないシステム,すなわち,エレベータ設置工事中の居住者の一時移転などが必要ないシステムとすることが重要である。そこで「階段一体型エレベータ」では,エレベータシャフトと階段を一体化したユニットを先に建設し,これを仮設階段として利用しながら,段階的に既存階段の撤去と床設置を進める工法の開発を行った。これにより,居住者の一時退避期間は2 日程度にまで短縮することができる。
既存階段を撤去し,床を新設した部分は,充実した共用スペースとして生まれ変わる。共用スペースが充実することで,団地のコミュニティがより活性化することを期待した。また,既存住戸の改修を併せて行い,このスペースを住戸部分として活用することで,住戸の床面積を拡大することも可能である。地上部には,住宅の新たな顔となるエントランスホールを設けることができる。このエントランスホールにオートロックを導入することで,住宅のセキュリティの向上も期待できる。